◆海そうの工夫
四方を海で囲まれた日本では、奈良時代から、いろいろな海そうを食べていたそうです。海そうは、海底から伸びて、陸上の草と同じように光合成を行って生きているため、日照が届く浅海の一部にしか生息できません。多くは一年草で、冬から春にかけて良く育ち、真夏には枯れてしまいます。
夏の浅海は高水温になるうえ、海面近くには植物プランクトンが大発生して水中に日照が届きにくくなります。そこで、陸上の草が寒く日照の少ない冬をタネで過ごすように、海そうは胞子などの小さな形で厳しい夏を過ごすのです。
秋になると急速に成長を再開し、ワカメの場合、3カ月で3mにもなります。水中に体を広げる海そうは、陸上の草のように体を直立させる硬い茎を作る必要がありません。海水に溶けている養分を体全体で吸収して、ぐんぐん伸びることができるのです。今度ワカメのお味噌汁を食べたら、水に満たされた、プカプカ浮かぶ、陸上とは違う世界の仕組みも考えてみてください。
みどりと環境の情報館
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