サクラとアリ
満開の花を咲かせていたサクラも、今は青々とした葉を茂らせています。このサクラの葉をよく見ると、葉の根元に小さなソラマメ形の粒が2つついています。これは甘い蜜が分泌される「花外蜜腺」です。文字通り花の外で蜜を出すのですから、受粉の手助けをしてくれる昆虫のためではありません。ではだれのためにあるのでしょう。答えはアリです。アリに大切な葉を守ってもらうのです。アリはいつもあるこの蜜を目当てに葉までやってきますが、サクラの葉を食べるガの幼虫などもエサとして木から運び出してくれます。つまりサクラは蜜でアリという護衛を雇っているわけですね。
自分の意志で動くことができない植物は、外敵から身を守るために「武器」を持つことが必要です。バラのトゲやトリカブトの毒などはよく知られていますが、サクラは、トゲや毒を作る代わりに、より低いコストでできる蜜によって、機動力の高いアリに守ってもらうという高度な戦略をとっているのです。
サクラのほかにもアカメガシワや、ヤブガラシなどにも蜜が出る部分があります。ぜひ探してみてください。
問 みどりと環境の情報館(エコベルデ内) 北区環境大学事務局
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