今年度は、JRの駅やその周辺にスポットをあててご紹介しています。

◆狐の伝承が残るまち ～JR王子駅～
王子稲荷あたりの狐は昔から人を化かすことで有名だった――今回は、そんな伝承が残る王子を散策していきましょう。
JR王子駅北口改札を出て左に進むと、すぐに自然の川を模した石畳の美しい音無親水公園に出ます。ここには、狐が逆に人に化かされる顛末を描いた落語「王子の狐」の舞台となった料亭がありました。現在は玉子焼き屋へと姿を変え、落語の中で登場する玉子焼きの味を今に伝えています。
このすぐ近くの高架下トンネル入口手前を左に曲がり、森下通り商店街を歩いていきましょう。権現坂を横切ってしばらく進むと、王子稲荷神社にたどり着きます。この神社には、毎年各地の稲荷から使いの狐が初詣に訪れると信じられていました。今では大晦日に、この伝承を再現した恒例行事「王子狐の行列」を開催しており、狐に扮した幻想的な行列を見ようと多くの人で賑わいます。
この行事のスタート地点は、王子駅前の北本通り沿いにある装束稲荷神社。近くにはかつて狐が初詣前に集まり、装束を整えたとされる大きな榎の木がありました。現在は「装束榎の碑」が神社内に建てられ、伝承を描いた歌川広重の浮世絵も残されています。
狐メイクや狐面をつけた人々で賑わう大晦日の王子。油断をしていると、本物の狐につままれるかもしれませんね。

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