◇露天風呂ゆの花
〔東京にいながらにして温泉気分を満喫〕
浮間にある「露天風呂ゆの花」のはじまりは1950年頃。現店主、飯島栄樹さんの祖父がシベリア抑留を経て帰国し、苦労の末に赤羽で立ち上げた「栄湯」がルーツだという。その後、浮間に移転して「浮間湯」となり、1978年の建て替えを経て、現在の姿と屋号になったそうだ。そんな「露天風呂ゆの花」の名物は、建て替え時にさまざまな温泉を視察してこだわった「湯の華」入りの露天風呂。「湯の華」は岐阜県の奥飛騨から仕入れたもので、硫黄の香りがほど良く、子どもも入りやすいので、家族連れを中心とした地域の人たちに「肌がツルツルになる」と喜ばれているという。東京にいながらにして温泉気分を満喫できる銭湯だ。
アクセス:浮間4-6-10(JR埼京線「浮間舟渡駅」から徒歩7分)
営業時間:午後3時~11時
定休日:月曜
フロント、露天風呂、薬湯、荷物一時預かり、ランドリー
◇藤乃湯
〔変わらぬ居心地の良さと情緒が満載〕
1955年頃に創業した、神谷の柏木通り沿いにある「藤乃湯」。現店主の佐藤裕亮さんによると、かつては庭や池があったほか、洗い場の真ん中に丸いタイルの浴槽があり、「丸風呂」と呼ばれ親しまれていたという。その後、1980年に建て替えを行ったが、今もビル型の銭湯とは思えないほど脱衣場や洗い場の天井が高く情緒に満ちている。多くのお客が「ここの風呂は何だか居心地がいい」と口を揃えるほどだ。また、今も基本的には井戸水を薪で沸かすスタイルを貫いており、近隣の印刷会社の使用済みの木製パレットなどを主な燃料にしているそうだ。これぞ地域密着型ならではのSDGs、地域にも環境にもやさしいエコな銭湯だ。
アクセス:神谷3-23-12(東京メトロ南北線「志茂駅」から徒歩12分、JR埼京線「赤羽駅」から徒歩15分)
営業時間:午後3時45分~11時30分
定休日:木曜
フロント、薬湯、サウナ、水風呂、ランドリー
◇岩の湯
〔伝統的な銭湯の姿を今に伝え続ける〕
赤羽岩淵で今も宮造り建築を維持している「岩の湯」。そのはじまりはなんと戦前。赤羽三丁目にあった岩井旅館の前身が炭屋で、炭の屑を活用するためにつくられた銭湯を昭和5年頃に譲り受けたという。現店主の砂田興次さんによると、戦時中は工兵隊が訓練後に立ち寄り、驚く速さで風呂に入っていた様子が印象的だったとか。その後、1951年頃に建て替えられ、今も伝統的な銭湯の姿を伝え続けている。井戸水を薪で沸かすスタイルも健在で、ひとたび店内に入ると昭和の頃にタイムスリップしたかのような感覚を味わえる。「浦島太郎」や「桃太郎」の物語がパノラマで描かれた珍しい手描きのタイル絵は必見。どこか懐かしく、心落ち着く空間だ。
アクセス:岩淵町31-2(東京メトロ南北線「赤羽岩淵駅」から徒歩3分)
営業時間:午後3時30分~10時30分
定休日:金曜
番台、薬湯、ペンキ絵、ランドリー
◇富士の湯
〔店主の愛情が詰まった温かい風呂〕
ナショナルトレーニングセンターなどのスポーツ施設が立地する西が丘で、1941年に開業した富士の湯。1979年にビル型銭湯になり、その後も何度かリフォームを経て現在の姿に。現店主は稲場敬子さんで、ベテランスタッフと二人三脚でこの銭湯を切り盛りしており、最近は強力なジェットバスが特に人気を集めているとか。それにしても、美しく磨き上げられた風呂や床のタイル、掃除が行き届いた脱衣場、大切に使われ続けている籐の籠などを見るにつれ、稲場さんたちが銭湯を大切に守り続けていることがひしひしと伝わってくる。そんな店主の愛に満ちた銭湯に通えば、身体だけでなく、心までほっこりと温まれること間違いなしだ。
アクセス:西が丘1-25-14(JR埼京線「赤羽駅」から徒歩15分)
営業時間:午後3時30分~9時30分(最終受付午後9時)
定休日:水・土・日曜(水曜のみ不定期で営業)
※当面の間、週1回程度で営業
フロント、薬湯、ランドリー、駐車場(無料)
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