◇表現者として
区長:陸上選手としての顔のほかに、役者としても活躍されているのを拝見しています。2024年1月に『手話劇!夏の夜の夢』で妖精の役をしていましたよね。陸上だけではなく、表現者としての活動が選手の活動にも繋がっているのではないかなと思いますが、どうですか。
山田:僕が演劇に興味を持ったのは小学生のときで、きっかけは、パントマイムのワークショップでした。有名な先生に教えてもらいながら、実際に体験しました。それまで僕は、耳がきこえないことはコミュニケーションが通じにくくて当たり前だと思っていました。学校では手話でコミュニケーションを取っていても、一歩外に出ると手話を知らない人ばかりで、話しかけられてもわからないこともあったので、すごくもやもやした気持ちで過ごしていました。でも、パントマイムを経験して、からだでの表現で話したいことを伝えられる素晴らしさを知りました。
区長:その頃に表現することに目覚めたということでしょうか。
山田:そうです。僕にとっての生きがいになりました。よし、じゃあ次は、舞台をやってみようと。表現者として活動しているうちに、スポーツと表現者にはある共通点があることに気付いたんです。
区長:どのような共通点があると思われたのですか。
山田:「再現力」です。ドラマでは監督が求めた演技をする、同じことを繰り返すことがキーポイントになります。スポーツも、調子が悪いときも良いときも関係なく、同じように走れるように正しいフォームや動きが必要です。それが再現力です。陸上競技だけをしていたときは、考えなかったことです。
区長:すごく大切な気付きですね。陸上選手、表現者とさまざまなことに前向きに挑戦し、それを糧にされているパワーは素晴らしいと思います。
◇区民の皆さんへ
区長:最後に、山田選手から区民の皆さんにメッセージをお願いします。
山田:デフリンピックは、耳がきこえない・きこえにくい人たちの大会ですが、多くの方々の力をお借りして、また皆さんの応援があって初めて成功すると思っています。自分が興味のある競技を会場で応援していただけると嬉しいです。僕は陸上競技選手なので、駒沢オリンピック公園で競技を行います。会場にお越しいただき、手話にも触れながら、応援をしていただけたら大変嬉しいです。自分の知らなかった世界に触れるきっかけにしてもらいたいです。
区長:障害という言葉よりも、それぞれの違いを理解しながらお互いをサポートしていくというのが理想ですね。だれでも、何かしらの得手不得手、できることとできないことがある。それが普通なのだと。だから、できないことは助けてね、私ができることは助けるよ、という社会になってもらいたいです。北区が率先してそうなっていけたらいいなと思っています。
山田:世の中にはさまざま人がいます。聴覚障害がある人も特別なことではないのです。なので、特別扱いしないことが、当たり前の世の中になってもらいたいですね。
区長:本当にそうですね。本日は長時間ありがとうございました。
山田:こちらこそ、ありがとうございました。
■デフリンピックとは
デフ(Deaf)とは、英語で「耳がきこえない」という意味で、デフリンピックは4年に1度開催される、耳がきこえない・きこえにくいアスリートのための国際スポーツ大会です。2025年に開催される東京大会は、日本初開催、第1回大会から100周年となる、歴史に残る大会です。
◇大会概要
大会名称(略称):東京2025デフリンピック
会場:都内会場(味の素ナショナルトレーニングセンター・イーストほか)、福島県、静岡県
大会期間:11月15日(土)~26日(水)(12日間)
競技数:21競技
参加国:70~80カ国・地域
選手数:約3,000人
■東京2025デフリンピック ボランティア募集
東京2025デフリンピックの大会運営を支えていただけるボランティアを募集します。
申込期間:1月31日(金)まで
申込要件:以下の(1)~(3)のすべてに該当する方
(1)令和7年4月1日(火)時点で満18歳以上の方
(2)活動期間中において、日本国籍または日本に滞在する資格を有する方
(3)各種研修に参加可能な方
申込方法:ホームページまたは本紙の二次元コードの応募フォームからご応募ください。
活動期間:11月10日(月)~28日(金)
【HP】https://www.sports-tokyo-info.metro.tokyo.lg.jp/tokyoforward2025/deaflympics2025-volunteer/
■山田選手に「応援で使える手話」を教えていただきました!
◇拍手
両手を挙げて、手のひらをひらひらとさせます。
◇頑張れ
両手をグーにして、胸のあたりから2回下ろします。元気・頑張るという意味ですが、頑張れという意味が伝わります(今回は応援するときに見やすいように位置を少し高くしています)。大きな旗を振るようなしぐさも、応援という意味で、気持ちが伝わります。
◇おめでとう
両手を軽く握って、お腹の前くらいの高さから手をパッと開きながら上向きに上げます。花火が打ち上がるような感じです。おめでとうの手話のあとに、拍手の手話をしていただけると、選手はすごく嬉しいです。
対談の中で、手話は「目に見える美しい言語」とお話しされていました。
皆さんもぜひ手話に触れながら山田選手を応援しましょう!
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