◆チョウの見ている世界は?
春風がここちよく感じる今日この頃。冬にはめったに見かけなかったチョウが街角や公園でひらひらと飛んでいます。彼らは蛹(さなぎ)や成虫などさまざまな姿で冬を越し、春に活動をはじめ、蜜を求めて花々に飛来します。
チョウをよく観察していると、種類によって蜜を吸う花の色が違うことに気がつきます。例えば、ナミアゲハ(アゲハチョウ)は、赤やオレンジの花を好む一方で、モンシロチョウは、紫や黄色の花を好むのです。いったいなぜ、このような違いがあるのでしょうか。
実は、チョウたちが見ている世界は、私たち人間が見ている世界とは少し違います。同じチョウでも種類によって、見え方に違いがあります。ナミアゲハの目には赤い光の波長が目立って見えますが、モンシロチョウの目には赤い光の波長は見えていません。このような種類による見え方の違いが、好む花の色に違いを生んでいるのです。
またチョウは、人間には見えない紫外線を見ることができ、紫外線の吸収の有無で見えている色が違うと言われています。面白いことに、花によっては蜜のありかが紫外線で浮かび上がって見え、チョウはそれを目印に蜜を吸うことができるのです。
街角や公園で、鮮やかに花々が咲きみだれる春。チョウがどの花にやってきているのか、目を向けて歩いてみませんか。
自然ふれあい情報館
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