・北区長 花川與惣太
明けましておめでとうございます。深谷市とは、ともに渋沢翁にゆかりの深い自治体同士、これからも連携を深めていきましょう。
・深谷市長 小島進(こじますすむ)
平成7年5月、深谷市議会議員に初当選し、市議会福祉文教委員長や市議会議長(深谷市議会史上、最年少)等を務める。平成22年2月、深谷市長に就任。平成30年2月から就任3期目として、現在に至る。
明けましておめでとうございます。今年は大河ドラマが始まり、渋沢翁顕彰では勝負の年になります。今年も張り切っていきます!
●渋沢翁について
▽渋沢翁の功績や考え方などで一番共感するところはどこですか。
花川区長:渋沢翁は、「誠心誠意をもって人に対すれば、不思議なほど相手に感動を与えるものである。」という言葉を残しています。私の好きな言葉は「誠」です。多くの方々と接する機会が多い私にとって、この言葉は非常に示唆に富んだものです。いつも何事にも真心をもって、誠実に粘り強く区政に取り組んでいきたいと思っています。
小島市長:私は、栄一翁の「論語と算盤(そろばん)」という考え方をしっかり胸に刻んでやっています。ただ、私自身は商人だったこともあり、若い頃はどうしても「算盤」が先にきてしまいました。今、こうして市長を務めさせていただく中で、若い頃よりも「公益」というものを大事にするようになりました。今後も栄一翁のように「論語と算盤」を大切にし、しっかりとした道徳観をもって経済施策やさまざまなまちづくりを行っていきたいと思います。
▽生誕の地の環境が渋沢翁にどのような影響を与えたと思われますか。
小島市長:深谷はいわゆる片田舎で、よくあれだけの人物が生まれたといわれるのですが、私は二つの環境があると考えています。一つは「家族」です。特に父親の教育の部分と、尾高惇忠(おだかじゅんちゅう)の私塾で学んだ部分が大きな要因の一つだと思います。あとは江戸まで続く利根川や中山道があったことですね。これらの交通により、しっかり情報の流れや動きが掴(つか)めたのであろうと思います。田舎でもいろいろな人や文化と出会える場所であったということです。深谷のこうした環境の中で健やかに育ちながら、世の中に大きく羽ばたいていったんだろうなと感じています。
▽晩年を過ごした北区に渋沢翁がどのような影響を与えたと思われますか。
花川区長:渋沢翁は、自ら創業に尽力した製紙工場を見守り続けたいという思いから飛鳥山に別荘を構えたと聞いています。製紙工場の建設に必要な選定条件を満たしたのがこの王子だったということですが、何回も飛鳥山に足を運ぶ中で、住みやすい土地としての魅力も感じたのではないかと思っています。飛鳥山は多くの賓客(ひんきゃく)を迎える民間外交の場としても利用されていましたが、渋沢翁は地域の発展も大事にしていて、町行政の整備や地域の社会教育にも関わっていました。地域住民による自治組織の発展の援助なども行い、北区を新たな時代へ導いてくれたと思います。
▽渋沢翁に関するエピソードで印象的なものを教えてください。
花川区長:関東大震災の際に、83歳だった渋沢翁を心配して子どもたちが避難を勧めたのですが、「こういう時に働いてこそ生きている申し訳が立つ」と言って飛鳥山に残り、罹災者(りさいしゃ)の救済に力を注いだんですよね。さらに自宅を食料品の配給本部として提供するなど地元の人々への支援もしています。何歳になっても人々のために働きたいという気持ちにとても共感を覚えますね。
小島市長:栄一翁は、いまや新紙幣の顔にも選ばれたほどの大人物ですが、その陰には数多くの挫折もあったのだろうと思います。攘夷(じょうい)実行を目指した高崎城乗っ取りなど一連の計画の決行直前での断念。また、倒幕を志した時期を経て、幕臣、官僚そして実業家と、決して当初の思惑通りにはいかなかった中でも、それを乗り越えて成長したのではないでしょうか。こうした人間味のあるところも含めて、栄一翁を尊敬しています。
●シティプロモーションについて
▽渋沢翁関連の事業について今後どのような事業を展開していく予定ですか。
花川区長:今年に関しては、やはり大河ドラマの放映が一番大きなトピックスになりますので、大河ドラマ館を筆頭にこれに即したプロモーションをしていく予定です。事業展開にあたっては、区民や区内事業者の方々とともに盛り上げていきたいですね。
小島市長:深谷市では、渋沢栄一アンドロイドを作らせていただきました。このアンドロイドは70歳の栄一翁を再現したもので、「道徳経済合一説」などの講義を聴くことができます。実はアンドロイドはもう1体ありまして、今度は80代の栄一翁を再現したアンドロイドを栄一翁の生地(せいち)「中の家(なかんち)」に設置する予定です。また、花園インターチェンジを降りたところにアウトレットもできますから、それも含めて渋沢栄一関連施設と連携をとって観光に力を入れていこうというのが一つの目標です。アウトレットに来ながら市内を回遊してもらう仕組みを整えて、なおかつ栄一翁関連施設にも足を運んでもらいたいと思います。特に北区の方々には一回だけでなくリピーターとして来てもらいたいですね。
▽渋沢翁関連の事業で今後、深谷市と北区でどのような連携を進めていくのか教えてください。
花川区長:現在、大河ドラマ館の運営について緊密に連携をとって進めているところです。昨年末に深谷市と共同で販売した「大河ドラマ館の広告付年賀はがき」は、大変な反響をいただきました。これからは渋沢翁を通じて、行政の連携だけではなくて、市民間の交流、特に子どもたちの交流が増えるといいですね。
小島市長:そうですね。ぜひ子どもの交流も考えましょう。あとは、できれば多くの北区民の方々に深谷を訪れてもらいたいですね。考えてみれば電車の快速で1時間ですからね。深谷市民にも北区の赤羽や王子などに出掛けてもらって、お互いにPRしていくということも大事ですよね。栄一翁のゆかりの地としては、北区とは比較的近い距離で連携をとることができ、栄一翁には本当に感謝しています。この関係は長く続けたいですよね。
花川区長:そうですね。ぜひよろしくお願いします。
▽大河ドラマも放映されますが、特に注目されている部分があれば教えてください。
小島市長:やはり、栄一翁が幼少期から青年期を過ごした深谷の部分に注目しています。特に、栄一翁の生地であるちあらいじま血洗島に今も残る獅子舞を踊るシーンを楽しみにしています。エキストラで血洗島の方々も出させていただいいて、なおかつ獅子舞の指導も地元の方が行いましたので、そのあたりにも注目しています。
花川区長:渋沢翁91年の生涯は、激動の一生といっていいと思います。ドラマでは青年期が話の中心になるかと思いますが、ここ飛鳥山で過ごした半生をどのように描いてくれるかが楽しみですね。幕臣・官僚・実業家と多彩な顔を持つ渋沢栄一という人物が、どのように描かれるかにも注目しています。
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