◆スプリングブルーム
若葉が青々と生い茂る季節です。植物は私たちの目を楽しませてくれるだけでなく、光合成によって陸の動物のエネルギー源をつくり出しています。一方、海の中では、目に見えないほど小さな植物プランクトンたちが海の生態系を支える主役となっています。
植物プランクトンは海水から養分を吸収して、海の表層部で光合成をしています。ちょうど、陸の植物が土から養分を吸収するのと同じですね。陸の植物の落ち葉がやがて腐葉土になり養分になるように、海でも生物の死骸は深いところで分解されて、養分として深層水に溶け込みます。そして、養分が豊富な深層水は、海水温の差などが生じると上層水と混ざります。つまり、海水の運動に伴って、深層の養分は表層部のプランクトンへ供給されるのです。
日本のような温帯の海では、日照時間が長くなる春に表層部の植物プランクトンが大増殖することになり、「スプリングブルーム」と呼ばれています。草木の息吹を感じたら、海ではまず植物プランクトンでにぎわい出す様子も思い浮かべてみてください。
北区環境大学(東京家政大学)
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